(ボクハミタサレルを演奏し終わって…)
どうもありがとう。
え〜、いま、聞いてもらった曲が、いちばん僕たちの中で新しい曲…ですね。『ボクハミタサレル』……全て……カタカナ……え〜……なんですけども……。
あの〜、大変だったんですよ。あの〜ですね、やっぱ、こう、3年目なんですけど、僕たちデビューして……。…こう、1枚アルバム出すごとに、その次のシングルっていうのはですね、すごい悩んでて……だから、ファーストの時には『なあなあ』で悩み、で、今度『Fate』でつぎ新しいまた1歩を、あの、踏み出すって時に……いったい、どういうsurfaceにしていこう、お〜〜〜!、っていうことで、2人で……話して……。ま、そこまでは同じなんですよ、やっぱり、新しいものを見せたい、当然!セカンドアルバム出して、『Fate』っていうのを作って、自分たち…自分の中でも、自分たちの中でも、すごく自己満足ができて、良いアルバムができた…からこそ、やっぱり、また、違うsurfaceを見せたいってのがあって、新しいsurfaceを見せたいのは、2人とも、もちろん、いっしょ。そこまでは、仲がいい。(会場ざわめく)うん、仲いいぞぉ〜。
んで、いざ、じゃあ、その……(会場から声がかかり、それに反応して)……話してんだよ、聞いてくれ〜〜〜(怒りつつ笑う)
あの〜〜〜、新しいsurfaceを見せるっつっても、たとえばね、たとえばだよ、こういう道があったり(手でいろいろな方向を指し示しながら)、こういう道もあったり、これも新しい、ね、どれも新しい……ってあって……2人とも、同じ道を、ね、これだよね〜って言えればいいんだけども、2人ともどの道も好きなの。どの道も行きたいの。で、わかんなくなっちゃって、で、とりあえず、彼ね(永谷くんを指して)…その〜〜……永谷喬夫……フルネームで言うと(笑)……あの、「1人でとりあえず、ちょっと考える時間ください、ちょっと僕がある程度作ってみます」…言ったさ! カッコイイさ、これ!(会場大歓声&大拍手)
(会場に向かって)
おだてんのはその辺にしとけ〜〜。もういいぞ〜〜〜、拍手は。
こっからがあるんだから。
それでできればカッコイイんだよ!
俺だっていっしょに拍手してたよ、いま!
できね〜んだ、これが(笑)。
あの、曲を作るっつって、で、一応ね、まあ、3人で…ディレクターと3人で…永谷と俺と…あの〜、じゃ、一応、一応だよ、デモテープ…ある程度こんな形っていうのを、まぁじゃぁ、この日までにもってこい、もってこい…ってのか…持ってきてね〜みたいな。あ、わかりました、と。あぁ、カッコイイわ、こん時は、まぁ。(永谷くんに向かって)なに黙りこくってんの?(ただただ苦笑いをする永谷くん)……あぁ、なにも言えない訳ね、いまね。
で、まぁ、俺もやっぱり、そうはいったものの、永谷1人に任しちゃってる……すごく……悪いな〜ぁ、頑張ってるかなぁ〜〜、なんて風に思ってて、電話しましたよ、次の日に。ペペペペッって(携帯の番号を押す仕草)電話して、も〜ぉ、直通留守電よ!も、直通だよ!普通、プルルルル〜〜って鳴ってさ、あぁ、忙しくて出らんないのかな、プルルルル〜〜、あぁ、ダメかな今日は、プルルルル〜〜、プッて「留守番電話サービスです」って言われれば、あぁ〜頑張ってるんだな〜って思えるけど、電源切ってんだよ!(会場爆笑、永谷くん苦笑い)。
こ〜れはね、微妙なのよ。電源切ってまで、もぅ、うるさい、もぅ、部外シャットアウト、作ってる!…なのか…………逃げたか(会場また爆笑)。ここがポイントでぇ〜。で〜、1日目はダメだった訳よ。で、2日目になってもう一回、俺はやっぱ心配だし、で、自分も、一応、だから、たとえば、手伝いかなんか、たとえば、こんなのがいいんじゃないって言えるんだったら言おうかな〜と思って、こう、電話するわけさ。また直通なわけ……。2日目……う〜ん、すっげ〜がんばってるのかなぁ〜、それとも逃げてんのかなぁ〜って、こう、どんどん膨らんでいくわけよ。どんどん膨らんでいって、そんなことを6日間ぐらい…。えぇ、僕はずっと電話しました。毎日電話しました。あの、証拠の留守電残したから彼も知ってます。(会場笑い)。はい。
「あの〜、もしもし〜、あの〜、椎名ですけど〜。ど、ど、ど、どんな感じ?」…なんて言う留守電を残して…。聞きづらいんだから!で〜、永谷は〜その留守電を聞いたら連絡くださいっていっても、来ないわけさ、これ。で、まぁ、6日間ぐらいそんなことがあって、7日目ぐらい目だよね。まぁ、約1週間……だよね、7日っていったら1週間だから…。それで、まぁ、もう1週間だぜ、しかも期日昨日で過ぎてるし、みたいなね。ははは、はっはは。いゃ、これは作ったけど。あの〜、まぁ、こんな話がありましてね。ま、そんな、ヤバイよ〜と思ってて………話?……(ちょっと話がしどろもどろになる椎名くん。たぶん、どこまで話したか一瞬忘れた(笑))……いや、した、いま、話してんだよ俺。そうだよ……ゴメンね、とまどってて……。
で〜、7日目に………電話かかってきたわけよ、永谷から。プルルルルっと。そりゃ〜ぁ、おまえ、いいか〜?長距離恋愛とか……長距離恋愛?遠距離恋愛?どっちだ?……してる〜人とかはよくわかると思うけど、電話しても繋がらないのって不安だよね〜、これね〜〜。それがだよ、1週間経って、永谷のほうから連絡があったわけさ。
そ〜りゃもう、パッピーさ!
(会場から大拍手)
あのね〜、俺たち、ほら、8年付き合ってるでしょ〜。長いのにね〜、あの、そんな1週間の電話だけで喜んじゃって…。「あぁ〜〜〜! 来た〜〜〜っ!」みたいな…(笑)。(会場笑い)
俺の携帯、4コールすると切れちゃうから、4コール目までに、こう、あわてて出ないとさ。あぁ〜〜〜、来てんのに、ん〜〜〜(あたふたと鞄から携帯を出す仕草)。ちょっと待て、ちょっと、冷静に冷静に冷静に!…冷静に!…俺は一個上だ、年が一個上だ、一個上だ、一個上なんだぞ、俺は……ピッ……「あ〜、もしもし〜ぃ(さりげない態度に戻って)…あぁ〜、椎名ですけどぉ〜。おぉ、どうした。あぁ、ほんと、できた。あぁ〜、やっとじゃ〜ん」…みたいな。そん時、頭んなか、「できたかぁ〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!」(手を叩きまくる)よく頑張った!でも期日過ぎてる…
…というね〜、こんな話がありまして、で、デモテープができたわけですよ。で、その1週間、ほんとに永谷喬夫は、ずっと、あの、いろいろとね、こう、いろんなもん聴いて、とか〜、自分で曲を作ってたのか、それともこの1週間は、ほんとはなにもやってなかったのか、これをね、ちょっと、ここで本人、さっきから全然しゃべんないから……。ね〜、2階も、後ろも、ちょ、聴きたいよねぇ?(会場大歓声。チャーリーさん効果音(笑))。
(永谷くんに向かって)よし、よし、しゃべろう! よし、行ってみよう! 1週間、どうぞ!
永谷:(マイクに手をかけ)あはは。もう…すみません…もう…あの〜…この話すると胃が痛くなってくるんで〜、あの……。それとあの〜……あの……留守電恐怖症になったんで、もう勘弁してください、もう。
椎名:(爆笑)
永谷:あの……これ、真面目に話さなくちゃいけないんですか?
椎名:いや〜〜〜、うぅん〜〜〜、うぅん〜〜〜。もういいよ。
永谷:もういいですか?
椎名:だって、胃が痛いでしょ?
永谷:いやねぇ、まぁ、その1週間は……なにをしてたかと……。そうですね。まずだから、最初に……こう、真面目に……制約を、こう、決めようと。
椎名:制約を決めよう、ほう?
永谷:楽曲を作るに対して、いままでは、コンピュータを触って作り出していた。
椎名:はい、そうですね。
永谷:なかなか、そうすると煮詰まると。
椎名:なるほど。
永谷:キーボードからやると、煮詰まると。
椎名:うん。
永谷:そっか、ギターじゃん、俺!
(大げさに驚く椎名。会場大歓声)
永谷:それで、こう、ギターを持った。
椎名:ギターを持った。
永谷:ギターを持った、ソファーに置いた。
椎名:置いた。……え〜〜〜? ちょっ待て!
(永谷くんに近づいて大げさに手を叩いたあと、腰を抜かすように座り込み大笑い)
椎名:おまえ、話飛びすぎだよ。ギターを持った…ソファーに置いた。これ、すごいぞ、この作業。え?その間は何分間?すぐ?
永谷:そうですね、なんか……なんか……「縁」かなんか一回弾いて……
椎名:「縁」弾いた…うん…
永谷:「縁」弾いて、ダメだっ!…って…
(椎名、会場、大爆笑…というのか、力抜ける……)
椎名:……って………。おと〜さんは悲しいね。よし、あ、俺はギターだ、ってはじめて気づいて、ギターを持った、「縁」を弾いた、置いた、オ〜〜〜〜イ!!!!!(コント調(笑))
椎名:え〜、みんなも、ギターやっている人はわかると思いますけども、俺もなんですけど、イヤなんだよね……あの……こう……(ギターを弾く真似をする)……痛いんだよね、手が! ……だから、たぶん、永谷は、「縁」で指が痛かったんでしょう。これ、フォローしてるわけじゃないのよ。ちょっと、その日はちょっと調子が悪かっただけなの。ほんとは、可愛い子なんだから……もう、も、そんな、責めないで。
…責めないで…ってか、俺が責めたんだ(笑)。
なるほどね。え、じゃ、その1週間のうちに、ほんとに「ボクハミタサレル」をちゃんと、音に、ちゃんと、した作業は何時間なの?はじめて聞くけど……。
(ビックリした顔で椎名くんを見る永谷くん)
椎名:ビックリしてるよ、なんか!! …なに?
永谷:5時間ぐらいかも…しんない……
椎名:5時間かよ、お〜〜い!
(会場大爆笑。へたり込む椎名くん。ただただ笑う永谷くん)
椎名:俺の6日間〜〜〜!(学芸会調に)「楽しかった6日間〜〜!」
(会場爆笑)
椎名:2階、聞こえてる〜〜?(会場:イエ〜〜〜イ)後ろも大丈夫〜〜?(会場:イエ〜〜〜イ)おっけ〜おっけ〜〜〜。まぁね〜、あの〜、これで俺もいまわかったんだけど、ヤツはやっぱ、天才だね! 5時間で「ボクハミタサレル」作ったんでしょ? だよね? そういうことだよね?(会場に同意を求める)
(会場:すご〜〜〜い)
来年は、バンバン、これ、曲作っちゃうんじゃないの?(手を叩く)
う〜〜〜ん、頑張ってね〜〜(長嶋監督の真似?(笑))
…ということで、ま、これがね、あの、「ボクハミタサレル」の俺もはじめて知った裏エピソードでした。みなさんも、あの〜「ボクハミタサレル」…そんなことをもう一回ふまえつつ、家に帰ったら、聞いてやってください。
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